今年度もまた、障がい者本人が参加して、「人生の計画」アセスメント演習を、8月28日午前9時半より笛吹市役所にて行いました。
これは、笛吹市自立支援協議会の相談支援部会が企画運営しているもので、市内の相談支援に関わる専門職のスキルアップを図ることを主としています。年に1度、障がい者本人が参加し、その方のアセスメント(聞き取り等)を参加者全員で行い、必要と思われる様々な事をその場で提案し、人生の計画書を当事者と一緒に、参加者全員で作り上げるという学習会です。
ご本人の生活における福祉サービスだけではなく、趣味や嗜好、友人関係などの協力者や医療の状況、地域住民との関係の中で、必要と思われることを提示して、グループ内で話し合います。
最後にグループ毎に発表し、作成した計画書を本人に選んでいただき、どのようなところが良かったのかなどを発表しあう場となっています。
今回参加した瀧さんは、交通事故による大怪我で、全身の麻痺と高次脳機能障害があります。それでも地域での自立した生活を望み、地域で一人暮らしを続けています。
家事のお手伝いをしてくれるヘルパーサービスや、入浴や外出のお手伝いをしてくれる通所のサービス、訪問して健康状態の確認やリハビリをしてくれるサービスなどを使って、一人暮らしを継続しています。

瀧さんは麻痺による言語の障害があり、非常にゆっくりと喋ります。そのため、住んでいる場所や年齢などは司会が代弁をしますが、基本は参加者が瀧さんに質問をし、それにゆっくりでも自分で答えていただく形で演習は進みました。
約25年前の交通事故の時の話や、部屋での過ごし方、楽しみは何かなど瀧さんらしいジョークを交えながら答えていました。
また、高次脳機能障害のため、瀧さんなりの独特の物の見え方や距離感の掴み方があり、それが生活面でとても大きな影響があること、他人になかなか理解されないことで苦しい思いをした事があったことなども話していました。この日も部屋の写真などで、瀧さんの日々の生活の様子を公開してもらいました。


このグループは住んでいる居住空間の提案(より安全に住める環境)を中心に考えました。瀧さんの拘りのひとつが「衣装」です。部屋の写真などを見ると、色とりどりの派手な衣類が沢山ありました。
「派手な服を着ているほうが目立って、誰かが声を掛けてくれるんだ。」と瀧さんは言います。


こちらは、本人の「スポーツをしてみたい」という気持ちに寄り添っての提案の計画です。瀧さんは「スポーツはしないけれど、もし自分が出来るスポーツがあればやってみたいし、もう直ぐオリンピック・パラリンピックもあって、色んなスポーツも見れるね。」などと語ります。

結果、こちらのグループの作成した計画が選ばれました。部屋の写真に写っていた、スヌーピーの衣装ケースに着目した事で、瀧さんは「よく見ているねえ。」ととても喜んでいました。
参加者からは、「派手な衣装も良いけれど、安全に部屋を歩くためには部屋を整理したほうが良いと思います。」と提案があり、瀧さんは部屋を綺麗にする決意を固めていました。
瀧さんは、今回の演習をとても楽しみにしていました。最後に瀧さんから、「皆の前で話が出来てとても嬉しい。自分のような重度の障がい者がどのような生活をしているのか知ってほしいので、今日は参加出来て良かった。でも時間が短いね。」と語りました。
約2時間の演習で、瀧さんはまだまだ語り足りないと思っているようで、出来ればまたやらせて欲しい、と終わった後に熱く語っていただきました。
また、この日は山梨日日新聞から取材が来ました。

こういった取り組みを、出来るだけ多くの市民に知らせていただくチャンスでもあります。今後とも、よろしくお願いします。
p/w suzuki