例えば脳梗塞や脳出血などの後遺症や、交通事故などで脳に強い衝撃があった、或いは脳腫瘍などで、体の一部が麻痺をする等の症状が現れることが多くあります。この後遺症が残ると、食事や入浴、排せつなどにも影響があり、介護を必要とする状況になります。脳梗塞や脳出血後遺症は40歳を過ぎたあたりから増えだしますが、事故や病気は年齢に関係なく起こることがあります。
しかし、体の麻痺が出現しなくとも、これら脳の損傷、病気などにより、物忘れが多い(記憶障害)、話すことが難しくなる(失語症)、やる気が出ない、などの症状が現れることもあります。これらを「隠れた障がい」などと表現する人もいます。
このような脳の複雑な機能の障がいを高次脳機能障害と言います。
今回の研修は、高次脳機能障害への理解と支援を学ぶための場であり、全国統一の手法を用いて、山梨県でも研修を開催することになりました。山梨県が主催し、相談支援ネットワークやまなしにて実施。場所は甲州リハの大木記念ホールです。
まずは11月に基礎研修。12月には実践研修があり、4日間の研修のメニューとなっています。
支援センターでも、利用者さんの中には高次脳機能障害の方も居て、重度になると様々な支援が必要になっています。まずはこの脳の障がいを理解し、適切な支援関係を構築することが必要になります。
ジチョーが初めて「高次脳機能障害」という言葉を学んだのは、今から25年も前の事です。当時はまだ高次脳機能障害と言う名前も一般的ではなく、記憶障害があっても若年性認知症と思われていた時代でした。そんな中、自分が担当した利用者は、脳出血の後遺症での半身麻痺だけでなく、独特な行動や記憶障害等があり、対応に苦心していました。
ある時、たまたま参加した国立リハビリテーションセンター主催の研修の中で、初めて「高次脳機能障害」という症状に出会いました。この時に学んだ記憶障害は、ただ単に数分前のことも忘れてしまうだけではなく、単純な日常の動作すら忘れて出来なくなるということを知りました。また、半側空間無視のような健康な人間には体験出来ないような症状もあることが分かりました。研修の後に主治医に高次脳障害の事を聞いても、「そんなことは知らない」と一蹴されるだけでした。
脳は本当に複雑な仕事をしてくれるから、私たちは問題なく日常の生活をすることが出来るのです。
この原理原則が高次脳機能障害によって、支援を必要とする状況になっていくのです。
あれからすでに25年が経っています。所々では勉強会など開催されていますが、自分の知識は25年前のまま。ブラッシュアップは福祉に携わる人間は必須です。常に新しい情報の中で支援をする必要があります。
基礎研修だけでも2日間みっちりのメニュー。12月には更に高度な研修となります。